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はじめに

1 惚れてしまえ!

2 ちらりと

3 光源氏計画

4 本当に惚れちゃった

5 惚れさせてしまえ!

6 あこがれ、依存、自立

7 手放すことを前提に

8 夫は友達


9 彼がいなくなる!

10 だけどね・・・

11 ママはひとりで十分

12 先輩への手紙 1

13 先輩への手紙 2

14 先輩への手紙 3

15 先輩への手紙 4

16 先輩への手紙 5

17 先輩への手紙 6

18 先輩への手紙 7

19 先輩への手紙 8

あとがき

 もうっダンナの話を持ち出さないでよ〜〜〜 

 天然素材の部下さんに本気で惚れてしまったという友人からの相談に乗りながら、私は余計なことを言ってしまったのでしょうか。 

 持ち出さないでって言っても、いるものはいるんだから。あなた、ご主人のことどう思っているの? 

 どうって・・・。そうねぇ、一番の友だち、かな? 

 友だち? 

 んー。そうね。友だちっていうのが、一番近いかな。 

 そうなんだ。 

 ウチもおたくと同じように子どもがいないから、それぞれに仕事して、それぞれの人間関係をもっていて、それぞれの趣味もあるのよね。 

 うん、うん。 

 だけど、一番ベースにお互いがいて、なに気取ることなく、「生活」の部分を共有しているの。 

 ああ、それ、わかる、わかる。 

 ワクワクドキドキとか、メロメロとか、そういうものとは別世界の、静かな、思いやりの空間とでもいうのかしら・・・。 

 はいはい、言いたいことはわかりますよ。つまり、職場の彼にワクワクすることと、ご主人との生活とは対立しないってことね? 

 まぁ、そうね。次元が違う話だと思うわ。 

 それならOKよ!私はまた、あなたが職場の彼と四六時中一緒にいたい、ケッコンしたい!なんて言い出すのかと思ったわ!!ほら、あの小柳ルミ子は55歳にして27歳年下の男性と結婚するっていうじゃないの。「お前は勝手についてこい」みたいな年上の男性よりも、「あなたとともに歩けるなら幸せです」っていう年下の男性のほうが魅力がある!っていうのは、最近の流行らしいし・・・ 

 流行ねぇ・・・。そうなんだぁ。 

 一度きりしかないのよ、私の人生も、あなたの人生も。 

 そうね。 

 好きなものはスキ、楽しいものはタノシイ。それでいいじゃない。 

 ええ、そのとおりね。 

 あなたの天然部下さんは、きっと、少しずつ成長するわよ。 

 そうね。今はそれを信じられるわ。 

 どんな風に育てたい? 

 彼のね、もともと持っている性質は、とてもステキなものだと気づいたの。 

 あなたをイライラさせていたのに? 

 ええ。イライラさせられたのは、彼の性質そのものではなくて、経験のなさだったり、知識のなさだったりしていたことに気づいたの。 

 そうなの。それで? 

 だから、彼がもともと持っているステキな性質・・・底抜けの明るさや、打たれ強さや、努力家のところや、人懐っこいところ・・・そういうものの上に、私が知っている大切なものをどしどし経験させて、上乗せしたいと思っているの。 

 なるほど〜。とってもいい考えじゃないの! 

 彼に選択肢を作ってあげたいの。これがボクのやり方です!というのではなくて、こういう方法も、ああいう方法もできますが、どちらがいいですか?と相手に尋ねられるくらいになるまでね。 

 ああ、いいと思うわ。そのために、あなたはどうするつもりなの? 

 そうね。できるだけ、たくさん話をして、いろんなことを一緒にしてみたいと思うの。あの澄んだ瞳にね、いろんなものを映してみたいと思うのよね。 

 ふふふ。ステキよ! 

 ありがとう。 

 いつでも相談に乗るから、思ったままにやってみてね!応援するわ! 

 ええ。 

 にこりと微笑んだ彼女を、私は本当に応援したいと思ったのです。