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はじめに

1 惚れてしまえ!

2 ちらりと

3 光源氏計画

4 本当に惚れちゃった

5 惚れさせてしまえ!

6 あこがれ、依存、自立

7 手放すことを前提に

8 夫は友達

9 彼がいなくなる!

10 だけどね・・・

11 ママはひとりで十分

12 先輩への手紙 1

13 先輩への手紙 2

14 先輩への手紙 3

15 先輩への手紙 4

16 先輩への手紙 5

17 先輩への手紙 6

18 先輩への手紙 7

19 先輩への手紙 8

あとがき

 天然部下に本気で惚れてしまったと告白する友人。 

 そんなこと、あなたが入ってきたときからわかっていたわと、私。 

 恋する女というのは、どうしてこうもアカラサマに美しくキレイになってしまうのでしょうか。 

 やわらかな物腰。はにかむような笑顔。血色のよい頬。穏やかな話し方。 

 これだけ忙しいんだから、崩れるような化粧品を売るほうが悪い!といった風情だったのが、ちょっと手を伸ばしてみたくなるくらいにうっすらと、でもきれいに整えたお化粧。 

 それから、この眼! 

 友人と天然部下とでは年齢が一回り以上違うのだけど、こんな眼でみつめられたら、やっぱりドキドキするんじゃないかな?と思ってみたりする。 

 バリバリ働くばかりのキャリアウーマンから、デキルくせに恋もする女に大変身を遂げた友人に、私はこんな話をしました。 

 人の気持ちというのはね、2種類あるんだと思うのよ。 

 ひとつは、状況に反応する気持ち。 

 もうひとつは、自ら生み出した、いわば想像力が生み出した気持ち。 

 例えば、あなたが天然ボケの部下さんを見て、「イラつくなぁ」と思ったのは「状況に反応する気持ち」ね。 

 でも、私に言われて「自分の教えどおりに育つ、得難い人材」という枠組みの中で想像力を働かせたストーリーに対するあなたの感情、それが「生み出した気持ち」って言うほうね。 

 夜も眠れないほど彼のことを考えて、こうしようと思ったことをやってみて、彼がそれに応えてくれて・・・。その元になったのはすべて、あなたの想像力のたまものよ。その循環に、何かよくないことがあったかしら? 

 よくないことは、何もないわ。でもね・・・ 

 でも、どうしたの? 

 彼が半日外回りにでかけているだけで、早く帰ってこないかなって気になるの。でかけるはずだった出張に、行かないことになったと聞いただけで、ものすごく嬉しくなる。眼が合うとドキドキして、笑ってくれると、時々うれしすぎて泣きたくなったりするのよ。こんなの、私らしくない!
 いい歳をして、あんな若い子に・・・犯罪じゃない!!
 

 そんなことないわよ!犯罪だなんて。 

 あなたにだから話しているけど、他の誰にもこんなこと言えないわよ。 

 言う必要もないでしょう?大人の恋を楽しめばいいじゃないの。 

 大人の、恋? 

 あなたはね、あなたの想像力に恋したのよ。相手もそれに乗ってくれている。だったら、次の想像をしてごらんなさいよ。 

 次の想像? 

 そう。こんどは、彼をあなたに惚れさせてしまえ!もう、メロメロに!! 

 ええぇぇぇっ