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はじめに

1 惚れてしまえ!

2 ちらりと

3 光源氏計画

4 本当に惚れちゃった

5 惚れさせてしまえ!

6 あこがれ、依存、自立

7 手放すことを前提に

8 夫は友達

9 彼がいなくなる!

10 だけどね・・・

11 ママはひとりで十分

12 先輩への手紙 1

13 先輩への手紙 2

14 先輩への手紙 3

15 先輩への手紙 4

16 先輩への手紙 5

17 先輩への手紙 6

18 先輩への手紙 7

19 先輩への手紙 8

あとがき

 「光源氏計画」とは、今あれができない、これが足りないと、相手の至らないことを数え上げてガッカリする時間をなくして、かわりに、こうなったらいいな、ああだったらステキだなと、今後よくなっていくことをイメージする時間に変えようという提案のことでした。 

 人は、相手のことを変えてしまうことができません。 

 変えられるのは、常に自分のあり方だけだです。 

 自分の不快の原因は、対象にではなく、自分の物事の捉え方にあります。 

 その捉え方を書き換えることができるなら、自分の感じ方もまた、変わってくるはずなのです。 

 友人は、もともと面倒見のよい姉御肌の人です。 

 だから、「あんなだったらいいな、こう成長してほしいな」という前向きな思いを抱いたなら、次は自然と「だったらこういうことを教えようかな、そういう言い方ではよくないかな・・・」と、自分の行動を振り返るはずだと考えました。 

 そうして、そうなるであろうと確信したのは、前の会話の途中、その新人さんが理想的な部下になった姿を想像してみて・・・とお願いしてみたときに、友人みずからが「いたわってほしい、ほめてほしい」という自分の願望を言葉にした時でした。 

 友人は、この時、魔法にかかったのだと思います。 

 そこで、「これからは四六時中、そうやって理想をイメージするのよ!」とは言わず、一歩譲って、「ちらり、と考えてみてね」と言いました。 

 すでにその方向にノッてしまっている友人は、そうやって条件を譲歩されると、「それくらいならいいかな?」と思ってしまったことでしょう。 

 ちらり、ちらり、と、その部下のことを、「使えない部下」ではなく「これから私が理想の部下に育て上げるステキな人材」として見てみるようになったはずです。 

 

 しばらくして、また友人に会いました。 

 ちょっと遅れて現れた彼女は、前回とは別人のよう。なんだかオシャレになって、心なしかスッキリと痩せたようで、はにかむような笑顔を浮かべながら近づいてくると、言いました。 

 「もう!責任、とってよね。」