<我が家の料理は、何でも「もどき」>
共働きで、最大のピンチは、子どもが病気になることです。自分が病気になるのも、困ったことではありますが、そこは、おとなですから、何とか切り抜けます。しかし、子どもが病気になると、お手上げです。病児保育は、まだまだ整備されていませんから、今も同様でしょう。
子どもが病気にならぬよう、考えた対策は、「栄養に気を配る」ことでした。
といっても、栄養学を学んだわけでもなく、調理師免許も持たない身。おまけにズボラときている私。考えたことは、肉か魚と、野菜をたっぷり食べさせること。だけです。
保育園から帰宅して、30分でできるメニュー、「肉野菜炒め」は、我が家の定番。
子どもたちの好きだった「チャーハン」は、我が家特性。挽肉がバラバラ混じっている野菜の中に、ご飯がパラパラ見え隠れしている、ご飯と野菜の量が逆転し、チャーハン「もどき」です。何しろ、「一汁一菜」で、栄養を全部入れてしまおうという、ズボラならではの献立。チャーハンの他に、もう一品はないのです。
これも子どもたちの好きだったハンバーグも、すった人参入りで、肉の色以上に、赤みの強い代物でした。
よろずこの手の「もどき」ばかりですから、いくら、他の味を知らない子どもでも、喜んで食べる味、とはいきません。
そこで、究極の秘策。それは、子どもたちを空腹にしておくこと。保育園から帰宅して、何か食べたくても、30分の我慢で、食べさせません。
「空腹にまずい物なし」のことわざを、実践しました。「もどき」の食事でも、必要量は食べていました。おいしいから食べ過ぎる、ということは、ありませんでしたが。
結婚前に読んだ、三浦朱門氏の本にあった一節。男の子は、将来どんな妻と暮らすか、分からないから、おいしいものを、食べさせなくてもいいのだ。との言葉を、金科玉条にして、栄養の有無だけを、問題にしていました。
栄養に注意した結果だと思っていますが、息子たちは、はしかや、おたふく風邪などの、子どもがかかる定番の病気以外、あまり病気をすることなく、毎日、せっせと保育園に行ってくれました。おかげで、職場を休むことなく、仕事を続けられました。
それでも、息子たちは、どこで覚えたのか、味にうるさいおとなになりました。今では、お袋の料理下手を批判しています。そして、任せておけぬとばかり、自分で作るようになりました。
旨い物を食べさせないのは、親の義務違反などと、神経質にならなくてもいいと思います。子どもは、自らの力で、道を切り開いていくのもですから。我が息子たちは、お袋を反面教師として、21世紀に通用する、料理する男に育ちました。
<子どもは、毎日「お子様ランチ」>
「もどき」料理に加えて、我が家の子どもたちは、毎日の食事が「お子さまランチ」でした。
と言っても、旗が立っている、かわいい盛りつけ、ではありません。おかずの皿が、お子さまランチ用の、区切りが入った皿だっただけです。どこかのバザーで、手に入れた記憶ですが、はっきりしません。
何しろ「もどき」料理で、味はどれも、いまいちですが、それでも、やや美味しい料理と、そうでない料理があります。特に、付け合わせの野菜は、残しがちです。そういうときに、区切られた皿が、威力を発揮します。何を食べ、何を残したか。どれくらいの量を食べたかが、一目で分かります。
おとな用に、大皿に入っている料理を、子どもたちがもらいたい場合は、自分の皿を空っぽにしてからが、ルールでしたから、いやでも嫌いな野菜も、食べることになります。ピーマンのソティなどが、しばしば嫌々食べる対象になりました。
食育が言われ出し、一昨年頃に、栄養学の先生が、テレビ番組で、お子さまランチの皿を使用することは、栄養のバランスがとれる食事にする、格好の手段だという発言をしておられました。「私のしていたことは、ズボラからだったが、栄養学的な見地から、意味のあることだったのか」と、改めて、自分のしてきたことを、見直しました。
ズボラの私が、一皿にした第2の理由は、皿洗いの手間を省くことでした。
子どもといえども、魚の皿、野菜の皿、漬け物はこれ、汁はここにとなると、すぐさま、4、5枚の食器になります。お子さまランチの皿にすれば、汁以外は一皿に入れ込めます。なにしろ、一汁一菜ですから、盛りつけられないほどの種類は、ありません。食べ残しをチェックするよりも、食器洗いの手間を省きたい方が、優先だったかもしれません。
なにはともあれ、食器洗いの手間を省き、栄養バランスも考えられ、食べ過ぎ予防にも有効な、一枚皿方式を、お勧めします。 |
|