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   <O-157もなんのその>

ー  除菌・消毒に追われる日々への疑問 ー
 

 病原性大腸菌O−157事件が、世間を騒がせたのは、約10年前になります。
 あの事件以来、学校給食から「サラダ」が消えた地域は多いでしょう。(現在復活したかどうかは、聞いていませんが)
家庭での除菌・消毒が、以前にも増して騒がれ、除菌・消毒グッズのCM登場回数が、ぐっと多くなりました。
 その傾向は、今も続いているように思います。特に夏は顕著でした。
 まな板、ふきん、調理器具の除菌は当たり前。じゅうたん、床まで、家中のあらゆる物を消毒、除菌しなくてはならないようです。そうすることが、優秀な主婦の「常識」に、なりつつあるのでしょうか。
 日本中を、無菌状態にしようとの、勢いを感じます。これは見過ごしにはできません。

 今から50年以上前の日本。敗戦の混乱が、落ち着きを取り戻しつつある頃。
 まな板は水洗いして、乾燥させるだけ。調理器具も同様。畳は、時々雑巾をかけるが、普段は箒で掃くだけ。それが、一般的な家庭のやり方でした。
 それでも、食中毒にもかからず、アトピー皮膚炎も騒がれず、おとなになりました。

 自分が育ったように、子どもたちにもしました。すでに、消毒については、言われていましたが、「神経質すぎ」と無視しました。「どんな国・地域に行っても、大丈夫な胃腸にしておくことが大事」と、言い訳を考えて。
 まな板、ふきん、調理器具。どれも熱湯消毒などせず、水洗いして乾かすだけでした。
このやり方は、今日も我が家では続いています。それでも、子どもたちは、食中毒にもならず、丈夫な胃腸の、おとなになりました。

 そんな育ちを象徴する、出来事があります。
 子どもたちが小学生時代の、ある年の夏休み旅行で、朝、家で作ったサンドウィッチを、夕方、宿で食べねばならぬ羽目になったことがありました。臭いをかいでみると、ちょっと異臭がします。「これは危ないかな」と、さすがに止めようかと思いました。遊び疲れの子どもたちは「食べに行くのは面倒だから、それで良いよ」と、食べてしまいました。そして、翌日。なにごともなく、予定通りに、出発したのです。
 成人後、長男は、トルコ旅行に行きましたが、「お腹は大丈夫」で帰国しました。三男は、タイに半月も行ってきましたが、こちらもどうということは無かったとのことです。旅行案内には、街頭の屋台の物は食べない方が良いと書かれていますが、彼は、かまわず食べて、大丈夫だったとのことです。

 除菌・消毒に明け暮れている方が、これを読んで、すぐ水洗いに変えることは、止めて頂きたいと思います。冬に入って、菌の活動が不活発になった頃から、徐々に始めていただくと、来年夏には大丈夫になることでしょう。子どもたちの胃腸が、体質的に丈夫かどうかも確認してください。呼吸器が弱いタイプと、胃腸が弱いタイプが、遺伝的に決まっているそうですから。
 何でもマニュアル通りにするのが、若い方の特徴です。読んだことは、あくまで参考にして、自分の頭で考えてください。中毒になったのは、文章のせいだなどと言われては、「性と生相談室」を閉室にしなくてはならなくなりますから、よろしくお願いします。

 しかし、これからの日本人が、日本だけで生活することは、少なくなるでしょう。企業の海外赴任先も、開発途上国が多くなっているようです。
 そんな時代に、無菌状態で育った子どもたちが、海外で生きていかれるだろうかと、心配します。消毒薬飲みのみでは、充分力が発揮できないのではないでしょうか。
 どこに行っても活動できる、どこに行っても生きていかれる人間を育てるためにも、除菌・消毒のしすぎは、考えた方が良いと思います。

 

   <犬の散歩ひも 大いに結構> ー ハーネスの活用を ー

 子どもは、1才くらいになると、歩き始めます。とはいえ、まだヨチヨチ歩きですから、ついて歩くにしろ、手を引くにしろ、主導権は親の側にあります。

 1才半を過ぎると、達者な歩き方になり、本人の意志が加わってきます。
 2才になれば、一人前に歩きます。本人の意志で、前後左右、どこにでも歩いていきます。しかも、あれもこれもと、旺盛な好奇心のおもむくままで、どこへ行くのか見当もつきません。全く、目が離せない状況になります。

 しかし、そんな状況でも、買い物には、行かないわけにはいきません。
 最も危険なのは、好奇心旺盛な、将来は、賢いおとなになるだろう、男の子です。しかし、危ないからと、買い物の間中、手をつないでいることなど、ほとんど不可能です。

 スーパーへ買い物に行った親子連れの、痛ましい事故がありました。
 母親が、ちょっと目を離したすきに、スーパーのドアから、出てしまった男の子が、トラックにはねられて、亡くなるという事故でした。あの時の子が、2才の男の子です。

 孫が2歳の時、同様のことがありました。幸い、間一髪で、事故にはなりませんでしたが、心臓が止まりそうになりました。息子夫婦が、ゆっくり昼食を食べられるようにと、ちょっとの間、預かったときのことでした。もし、怪我でもしていたら、親子関係は、断絶していたでしょう。そう思うと、今でも冷や汗が出ます。

 その時の苦い経験から、若いお母さんには、「ハーネス」の活用を勧めます。
 今でも、あまり使っている人を見かけません。なぜだろうと聞いてみると、「犬の散歩させてるみたいで、周りの目が気になる」とのことでした。特に、姑の前では使えないようです。孫を虐待していると、誤解されそうだという理由で。

 確かに、従来の日本人的発想では、違和感のあるところかもしれません。あんなバンドをさせていては、親子の絆が弱くなる。と思う人もいるかもしれません。
 しかし、事故に遭ったら、必ず「母親の責任」と、責められることになります。そうなる前に、周りの目など気にせず、使ってみる方が、賢明だと思います。

 何も、外出時の始めから終わりまで、ベルトに頼って、手もつながない、というのではないのです。ベルトをしたまま、できるときは、手をつなげばいいのです。買い物などで、手をつなげないときに、ベルトをしておけば、ひとりでどこかへ行ってしまう危険を、回避できるのです。「安全ベルト」とか「危険防止ベルト」という名前にしたら、普及するでしょうか。「ハーネス」は、盲導犬を連れているようなイメージですから。

 もうひとつの効用は、自立心が育つということです。いつも手を引かれて、連れて行かれるのではなく、自分で選択して、行動しているという自覚が、1才、2才から植え付けられることは、その後の成長に大きな影響を与えます。
 自己選択、自己決定が、21世紀を生きる「キーワード」になっています。
 その一助となる、ハーネスの活用を、ぜひお勧めします。 
     
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