落語に見る、江戸庶民の食
江戸時代の庶民は一体何を食べていたのか、落語に登場する食べ物を季節毎に分類整理して
みました。 今も食べ続いている料理もありますが、殆ど食べられなくなったものもありま
すね。 はぜの煮つけってどんなんだろう。
季節 |
庶民の食物 |
登場する落語 |
備考 |
春 |
てんぷら、玉子焼き、ぼたもち |
王子のきつね |
御馳走 |
どじょうなべ |
こんにゃく問答 |
肴 |
タクアン、大根 |
長屋の花見 |
日常の食材 |
饅頭 |
饅頭こわい |
日常の菓子 |
湯豆腐 |
付き馬 |
日常の料理 |
刺身、酢の物、塩焼き、寿司、田楽 |
味噌倉 |
宴会料理 |
鰯の塩焼き |
三方一両損 |
日常の料理 |
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夏 |
冷や奴 |
家見舞い |
日常の料理 |
きゅうり、大根、奈良漬け、紅生姜、鰻の蒲焼、お茶漬け |
鰻の幇間 |
御馳走したい、されたい料理 |
糠味噌の古漬け、豆腐 |
酢とうふ |
日常の料理 |
唐茄子 |
唐茄子屋 |
日常の料理 |
くわいのきんとん |
百川 |
お届物の菓子 |
鯉のあらい、鰯 |
青菜 |
肴、酒は幻の「柳影」 |
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秋 |
鰻の蒲焼 |
子別れ |
御馳走したい、されたい料理 |
そば蒸籠 |
そば清 |
日常の料理 |
しっぽく、花巻 |
時そば |
日常の料理 |
青黄粉 |
茶の湯 |
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茶漬け |
目黒のさんま |
日常の料理 |
さんま、大根おろし |
目黒のさんま |
季節限定の食材 |
中とろ、 |
一人酒盛り |
肴 |
鰺の干物 |
天災 |
日常の料理 |
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冬 |
つゆ、はしら、たら,こぶ、あんこう鍋どじょう汁、茹でたこ |
居酒屋 |
肴 |
鍋焼きうどん |
うどん屋、石返し |
日常の料理 |
汁粉 |
石返し |
日常のおやつ |
餅 |
尻餅 |
季節限定の料理 |
猪鍋 |
二番煎じ |
宴会料理 |
ふぐ |
らくだ |
季節限定の御馳走 |
芋と蓮とはんぺんの煮染め |
らくだ |
肴 |
しじみ |
蜆売り |
日常の料理 |
はぜの煮つけ、香こ |
芝浜 |
日常の料理 |
香こ、納豆、佃煮、大根、おでん |
代わり目 |
日常の料理、肴 |
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不明 |
豆腐、卯の花、がんもどき |
甲府い |
日常の料理 |
刺身、酢だこ、タラもどき |
棒鱈 |
肴 |
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■□ 考察 □■
豆腐 |
一年を通じて、日常のおかずとして、食べられたようである。一丁の大きさは現代の5〜6倍といわれ、日常的に、大量に摂取したと思われる。 |
大根 |
飯の友。浅漬け、みそ漬け、ぬか漬けと、漬け物にして保存し、年間を通じて食していたと思われる。 |
鰯 |
春、夏に食べられていた、庶民の魚 |
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注) 落語の季節区分化は、ちくま文庫「落語百選」、文春文庫「落語歳時記」の分類を参考に
しているが、季節が食い違っているものもあり、また現代の季節感覚と異なっている(正月を春
という等)ものもあるので、一応の目安としてください。
