美味しいカクテルには、実はなかなか巡り合えないものなのです。
そりゃ、季節のフルーツをふんだんに使ってつくるオリジナルカクテルなんてウマイにきまってるのだけれど(生グレープフルーツチュウだってウマイでしょ)
スタンダードなカクテルをスタンダードな材料で作るカクテルが美味しいと思えるコトって、ちょっとした奇跡と言っても良いようなモノなのです。
ボクは、甘いカクテルが好きで、特にマンハッタンが大好き。
ベルモットが特別だったりする変化球も悪くはないのだけれど、美味しい『スタンダードな』マンハッタンがいつでも飲める店というと、これはかなり絞り込まれるのですよ。
コレオスは恐らく渋谷で最も歴史的厚みのあるバー。(バーが古いワケじゃないんです)
今の場所に移る前は、コレヒオといって、なんと109の8Fにあったのだから驚き。
まったくのオーセンティック・バーでありながら、堅苦しくなく、それでいてバカ笑いなども聞こえてこない上品な雰囲気。
都内のバーテンダーを集めたら、確実に重鎮であるにもかかわらず、茶目っ気たっぷりで、しかも自らサービスも行うマスター大泉氏の人柄がそんな空気をつくるのだろう。
チーフの福島氏も正確なカクテルをつくる。これはかなりの腕前で、ここまでヤレル人は都内でもそうはいないのではないかな?
カクテルの話だと、マティーニ抜きで、このお店を語ることは出来ない。
所謂『進駐軍マティーニ』。
ボクはマティーニ信者ではないので、マティーニがドライで嬉しいとは思はないのだけれど、わずかばかりのベルモットで味を組み立てる技にはやはり脱帽する。
そしてこのマティーニはお店に大泉氏がいる場合、勿論誰にも任さないのだ。
(ボクは常連ではないので詳しいことは知らないのですが、大泉氏以外の人が作るところは見たことないのです)
この日は久しぶりに『大泉マティーニ』をいただいたのだけれど、
タンカレーがボトルに残っておらず、お酒の準備をアシストしていたチーフが、
「ギリギリ足ります」といって、ボトルを置くと、
大泉氏は、そっぽを向いて、ステアグラスにタンカレーを真っ逆さまに注ぎ入れる。
「え〜〜〜」とボク。
「だって、彼が足りるっていうからさ。」
・・・
茶目っ気たっぷりでしょ。
自分を大きく見せようとしない人ってステキです。
そんなマティーニが注がれるグラスが変わっていて、カクテル・グラスではなくて、リキュールグラス(だと思うのですが・・・写真参照)。
どんないわれがあるのかわからないのだけれど。
ナミナミ一杯に注がれたマティーニ・カクテルをお迎えに行って一口飲むと、マスターがスタッフド・オリーブをグラスに入れてくれるのです。
・・・・・
バックバーには、それほど多くの酒がある訳ではありません。
ボクは品のないスコッチ飲みなので、すぐに変わったラベルやボトルを探す癖があるのですが、
このお店は、スタンダードでも美味しいお酒をバランスに気を遣って丁寧にそろえている感じ。
だからといって、レアなものがない訳じゃないのです。
なにしろ、G&Mのリベット超古ものや、ラパランの姿も見かけたりするので。
いつ開けるのかはわかりませんけど。
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