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はじめに

1 イライラ合戦

2 まず一歩

3 もう我慢できないっ!

4 こんな会社辞めてやる

5 自分の心にもぐりこめ!

6 本心を語ろう

7 出会えた喜び

8 繰り返される人間関係

9 必要だったから

10 はるかさんの自己受容

11 シンクロニシティは突然に

12 やよいさんの自己受容

13 ますみさんの生き方

14 再スタート

15 決意を行動に

16 それぞれの人生

おわりに

いいんだ!

  再スタート

 もっと違和感があるのではないかという予想に反して、やよいさんは職場に足を踏み入れたとたんに、「日常」に戻った感覚を持ちました。

 休暇を許してくれた上司にあいさつし、「ああ、サッパリして帰ってきたね!」といわれたのスタートに、最初のミーティングまではあっという間にみんなの笑顔に囲まれました。未処理の書類が机の上にうずたかく、しかもごちゃごちゃに積みあがっているのを見たときには、内心クラッとしましたが…。

 でも。

 やよいさんには、やよいさんの気付きがホンモノかどうかを試せるチャンスがちゃんと用意されていたのです。

 ミーティングの終わり近くでした。
 はるかさんが言い始めました。

 「Bチームとの合同ミーティングは、元に戻したほうがいいと思います。」

 やよいさんとはるかさんはAチームの所属です。ここでは、同じ仕事内容なのですが担当地域別に、チームが2つありました。お互いに協力できる立場にあるのに、長い間協力体制がありませんでした。

 そこで、A・B両チームがそろってミーティングを行い、情報交換をするように提案し、準備し、実現したのはやよいさんでした。

 はるかさんの「元に戻す」とは、言い換えれば「合同ミーティングはやめましょう」ということでした。

 はるかさんが言うには、お互い自分たちの仕事で忙しいし、情報交換しても自分の顧客には生かせないことが多くて時間のムダになっているというのでした。

 はるかさんがこのようなことを言い出したのには、はるかさんなりの理由がありました。

 聞こえにくいはるかさんにとって、大きな会議室で、あれやこれやと意見が出るのを理解したり、それを生かしたりという作業はとても苦痛でした。

 これまでどおり自分らしくあろう、と改めて認識したはるかさんは、自分にとって苦痛なことはなくしていき、それでも仕事ができていたときに戻そうと考えたのでした。

 はるかさんの間違いは、自分の苦痛は他の人の苦痛でもあるだろうと考えた点でした。予め、他のメンバーが合同ミーティングに対してどのような考えを持っているか聞いてみようかと考えたなら、提案の仕方も変わったでしょう。

 でも、いつものように、はるかさんはそういう細かい動きを省略しました。

 驚いたのはやよいさんです。

 出てきてすぐのことでもあり、仕事の負担をかけた負い目もあって、「それは!」と声に出して言い出すタイミングを逃してしまいました。

 自分が苦心して実現し、有意義だと思い、合同ミーティングを楽しんでさえいたやよいさんは、自分がしてきたことがまったく無意味だったといわれたような気がしました。

 心の中に灰色の雲が厚く広がっていくようで、やよいさんは顔を上げていることもできなくなってしまいました。

 その場で反対する人がいなかったので、次の合同ミーティングで中止の提案をするわよ、というはるかさんの言葉を最後に、朝のミーティングが終了しました。

 やよいさんの顔から、電車を降りたときの笑顔は消えていました。胸の中の無価値観は広がるばかりです。努力が踏みにじられた怒りもおぼえました。

 やよいさんはすっかり、落ち込んでしまいました。