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はじめに

1 イライラ合戦

2 まず一歩

3 もう我慢できないっ!

4 こんな会社辞めてやる

5 自分の心にもぐりこめ!

6 本心を語ろう

7 出会えた喜び

8 繰り返される人間関係

9 必要だったから

10 はるかさんの自己受容

11 シンクロニシティは突然に

12 やよいさんの自己受容

13 ますみさんの生き方

14 再スタート

15 決意を行動に

16 それぞれの人生

おわりに

いいんだ!

  自分の心にもぐりこめ!

 やよいさんは、紙を出してきました。

 そして、大きな赤い字で、書き出してみました。


 実害がない


 次に、辞書を出してきて、調べ、それも書き出しました。

 実害・・・実際の損害。実質的な損害。

 そして、反対語は「実益」「実利」であることも知りました。

 実際の、損害。損害。損害・・・実際の。

 やよいさんは、それまで損害を「実際」かそうでないかに分けて考えたことなど一度もなかったことに気付きました。

 やよいさんが感じていたのは「悪いこと」と「よいこと」でした。

 「よいこと」を増やそうとし、「悪いこと」は改めよう、なくそうとしてきました。

 でも、それだけで、「悪いこと」を「悪いことだけど実害がないこと」と「悪いことで実害があるもの」に分けてみたことなんかなかったのです。

 さくらさんは「実害がないからいい」と言っていました。

 やよいさんにとっては、悪いことは悪いことだったけど、さくらさんにとっては実害がなければ、悪いことも「いいこと」なのです。

 やよいさんは、さくらさんのことを考えてみました。

 さくらさんは、楽しい人です。でも、笑ってばかりいる人かというとそうではありません。よく怒るし、泣くし、落ち込みます。気に入らないことには文句を言うし、言葉遣いが悪いこともあるし、やよいさんの話を聞いていなくて、自分のことに夢中になっていることもあります。

 それでも、やよいさんはさくらさんにイライラしたことはありませんでした。

 そうか、実害がないからかもしれない。

 はるかさんはどうだったのでしょう。

 はるかさんは、知っている限り、お客様に迷惑をかけたり、会社に実際の損害を与えたりしたことはなかったような気がします。起きていることがよく理解できていなくて、おかしなことを言ったりしたりしていたけれど、そのたびにチームの中で気付いて、害になる前に止まっていました。

 思い出せば思い出すほど、やよいさんははるかさんが「損害がある」からイライラしていたのではなく、「おかしなことをする」からイライラしていたのでした。

 やよいさんにとっては、「人の話がわからずにおかしなことをする」のは「悪いこと」でした。「悪いこと」なのに平気でしているからイライラしたのです。

 でも。

 「損害がなければ、悪いことでもまぁいいか」という考え方にしてみたらどうでしょう?

 はるかさんも、「まぁいいか」の仲間入りです。実際にお客様を怒らせてしまったやよいさんのほうが、ずっと「悪いこと」になります。

 やよいさんは気付きました。

 「自分の考え方・感じ方が『悪いこと』を増やしていたんだ。」

 これは大発見でした。他の考え方・感じ方はどうなのだろうと思い、会社を辞めたくなったときの気持ちも、白い紙に書き足してみました。



 私は負けてしまった。
 私はあの会社にいる意味があるのだろうか。
 どうしていつもこんなことになるのだろう?
 どいつもこいつも、どうして私のことを否定するんだろう?
 私はこんなに頑張っているのに。
 もう、こんな会社、辞めてやるっっ!


 赤い文字をじっと眺めて、さらに、はるかさんに対して感じていたことも加えることにしました。


 先輩のくせに、仕事はちゃんとしてほしい。
 人の話はちゃんと聞いてほしい。
 くだらないミスをして私をイライラさせないでほしい。



 さらに赤い字をじっと見ているうちに、やよいさんはもうひとつ発見しました。

 これは・・・