| ホーム はじめに 1 イライラ合戦 2 まず一歩 3 もう我慢できないっ! 4 こんな会社辞めてやる 5 自分の心にもぐりこめ! 6 本心を語ろう 7 出会えた喜び 8 繰り返される人間関係 9 必要だったから 10 はるかさんの自己受容 11 シンクロニシティは突然に 12 やよいさんの自己受容 13 ますみさんの生き方 14 再スタート 15 決意を行動に 16 それぞれの人生 おわりに |
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| やよいさんに、お客様の誤解とはいえクレームがついて、問題がこじれてしまいました。 助け舟を出したのははるかさんでした。ひとりでお客様と会い、話し合ってくれたのです。 おかげでお客様はなんとか怒りをおさめ、やよいさんのことも、許したわけではないけれどまぁ今回は多めに見てやろうという気持ちになってくださいました。 はるかさんの口ぶりからすると、どうやらはるかさんもやよいさんには腹の立つ部分もあるとお客様の気持ちに共感を示したことで、お客様の怒りがゆるみ、なんとか取引を続けていただけることになったようでした。 そのお客様の担当を今後もはるかさんにお願いすることにして、一応この出来事はおわりとなりました。 けれど、やよいさんは、大変なショックを受けました。 もちろん、はるかさんには感謝しましたが、自分がお客様から誤解を受けたこともショックでしたし、それを、あのはるかさんが丸くおさめてくれたこともショックでした。しかも、自分の悪口を言い合うことで意気投合したらしいはるかさんとお客様の存在を思うと、もう仕事など辞めてしまいたいとさえ思ったのです。 私は負けてしまった。 私はあの会社にいる意味があるのだろうか。 どうしていつもこんなことになるのだろう? どいつもこいつも、どうして私のことを否定するんだろう? 私はこんなに頑張っているのに。 もう、こんな会社、辞めてやるっっ! 思い余ったやよいさんは、1週間の休暇を願い出ました。本当はそのまま辞めてしまってもよかったのだけど、辞表を書く気力さえなくしていたのです。 やよいさんの気持ちを察し、またこれまでの努力をつぶさにみてきた上司は、気持ちよく休暇を許してくれました。 退勤時間に、明日から1週間休暇をとることを伝えると、やよいさんの気持ちを察しているチームのメンバーはみな「それがいいよ。今まで頑張った分、ゆっくりしておいで。その間、仕事のことは忘れていていいよ。元気になって戻ってきてね」と、送り出してくれました。 ひとり、はるかさんだけが、「いいわねぇ。こんな時期に休暇なんて。私もほしいわ〜」と能天気な声をあげました。はるかさんとしてはショックを受けているだろうやよいさんの気持ちが少しでも軽くなるように、明るい雰囲気にしたかっただけなのですが、やよいさんにはもう耐えられませんでした。 やよいさんは一人暮らしをしています。アパートに帰っても、明日から1週間、何をする予定もありません。ぼんやりと家路をたどりながら、ふと、とある友達のことを思い出しました。 さくらさんです。 さくらさんはやよいさんよりも少し年下です。インターネットを通じて知り合い、何度か会ったりもするようになってからもう5年にもなります。生育歴も、学歴も、今の仕事も生活環境も、なにもかもまったく違う二人なのだけれど、お互いになんだかホッとする友達です。普段こまめに連絡を取り合うということもないのですが、こんなふうにふとした折にはまず、思い出す相手なのでした。 そうだ。はるかさんのことも、仕事のミスも、さくらちゃんになら話してみてもいいかな。 翌日。やよいさんはさくらさんに電話をしてみました。そして、はるかさんとの間にあったことを、できるだけ悪口にならないように気をつけながら話してみました。 すると、さくらさんはこう言いました。 「へぇ、変なおばさんがいるんだねぇ。そういう人ってさ、ホント調子狂うよね。でもさ、実害のないおばさんじゃない。」 やよいさんは意図が飲み込めず、聞き返しました。さくらさんは言います。 「だってそのおばさんさ、自分で聞き間違えて自分でボケかましているけどさ、それでお客さんが怒ったこともないんでしょ?打ち合わせだってさ、そのおばさんだけのためにやっているわけじゃないんだから、おばさん一人がボケてても、他の人のためには役に立っているよね。それって実害がないってことじゃないの?要するにさ、耳がどうとかじゃなくてさ、天然ボケなんでしょ?」 その後、さくらさんは最近夢中になっているらしい何やら楽しげな話をしてくれたのですが、やよいさんはあまりよく覚えていません。 実害がない。 やよいさんの頭の中に、その言葉だけがぐるぐると残ったのだそうです。 そうして、やよいさんはこの1週間、自分が何をすればいいのか、糸口をつかんだのでした。 |
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