ホーム





はじめに

1 イライラ合戦

2 まず一歩

3 もう我慢できないっ!

4 こんな会社辞めてやる

5 自分の心にもぐりこめ!

6 本心を語ろう

7 出会えた喜び

8 繰り返される人間関係

9 必要だったから

10 はるかさんの自己受容

11 シンクロニシティは突然に

12 やよいさんの自己受容

13 ますみさんの生き方

14 再スタート

15 決意を行動に

16 それぞれの人生

おわりに

いいんだ!

  イライラ合戦

 「まったく、もうっ!」

 やよいさんも、はるかさんも、もはやイライラのピークに達している自分を自覚せずにはいられませんでした。

 はるかさんはやよいさんよりも10歳年上。二人は同僚で、やよいさんの異動によって同じチームで働くことになりました。仕事歴も職場歴も、はるかさんの方がずっと長いことになります。

 やよいさんは若手ですが、いわゆる切れ者で、短時間で最高の成果をあげるような仕事のしかたをします。段取りがうまいし、これまでにさまざまな仕事をこなしてきているので年齢の割には経験が豊富です。重役方の覚えもめでたい出世頭だと、もっぱらのウワサです。

 はるかさんは生まれつき、耳が少しだけ聞こえにくいのです。健康で活動的で美人でもありますが、できるだけ目立たないように、大きな責任を伴うような仕事は引き受けないようにしてきました。実際に何かを聞き落としてしまって失敗することは多々あり、そういう自分に慣れているし、苦にも思っていません。人からは一風変わった人と見られることが多く、はるかさん自身、そう見られていることをよく知っていました。

 このスタンスの違う二人が同じチームで同じ仕事をするのですから、すんなりとはいきませんでした。数ヶ月たった二人は、どちらもイライラのピークに達していました。

 やよいさんは、はるかさんが余計なことをして足を引っ張ってばかりいると感じていました。でも、耳が聞こえにくいゆえに起きる勘違いだと聞かされていたので、あからさまに嫌な顔をしたり、腹を立てたりすることができませんでした。けれども、前日の1時間の打ち合わせの結果を何も理解していないことがわかったり、ついいましがた、「これはこうしましょう」と決めたばかりなのに全然違うことをしてしまったりするのを見ていて、イライラはピークに達していたのです。

 一方、はるかさんもイライラしていました。はるかさんにとってやよいさんの仕事ぶりは目を見張るばかりでした。10歳も年下で、しかもこの職場での経験はほとんどないというのに、つぎつぎに仕事を片付けていくのは驚きでした。けれど、しばらくするうちに、やよいさんと仕事をしていると、自分のすることがほとんどなくなってしまうことに気付きました。やよいさんは相談も協力もなしで、その仕事ができてしまうのです。あなたは価値がないと言われているのも同然だと感じ始めました。すると、今度はやよいさんの視線が、はるかさんを見下しているようにも感じるようになりました。冗談じゃないわ!私の方がずっと年上で経験もあるのに!はるかさんもイライラがピークに達しました。

 さて、この二人。どうなったと思いますか?